メス
Confidentmesu
scalpel
katakana
由来
- 元言語
- オランダ語 (nl)
- 元の形
- mes
- 借用ルート
- オランダ語医学語 → 蘭学・近代医学語として日本語へ
- 意味の変化
- 刃物・ナイフ → 外科用の小刀・scalpel
- 最古文献
- 1800
解説
1799年、小学館の日本国語大辞典は『蘭説弁惑』にめすを記録し、借用元としてオランダ語 mes を挙げます。オランダ語 mes は「ナイフ」全般を意味し、Etymologisch Woordenboek は中世オランダ語 mes を1240年から記録します。日本語のメスは英語の mess でも、フランス語の mets でもなく、単音節のオランダ語名詞をカタカナに整えたものです。
語の経路は江戸蘭学のオランダ系医学、長崎、解剖学書、後に近代外科へと続きます。古い日本語ではめすを「庖刀」と呼ぶこともできましたが、医学の用法では切開や解剖に使う小型ナイフへと意味が絞られました。明治の医学になると、メスはピンセット、ガーゼ、カテーテル、アルコールと一緒に、西洋臨床の語彙群の一員として位置づきます。
現代日本語のメスは外科用ナイフ、解剖刀、または「メスを入れる」のように分析的・批判的な介入を指す比喩でも使われます。平凡社『世界大百科事典』は英訳に scalpel や surgical knife、ドイツ語の Messer を挙げます。英語に mes という日常医療語はなく、scalpel が直接の対応語です。
オランダ語の mes は今でも普通の台所ナイフを指し、日本語のメスはあくまで臨床・調査の文脈に絞られています。「外科医がメスを持つ」は手術の場面そのものです。